こんにちは、私はこの協同ファームさんにインターンシップさせていただいている宮崎大学農学部、研修生の飛岡と申します。

今回は前回に引き続き、実際に養豚農家の豚舎に入ってみて思ったことや経験したことなどをお伝えしていていきたいと思っています。

豚舎に入った時に生産部の方に豚のお世話のことの他にも、このまるみ豚のおいしさの秘訣である「水」「衛」「餌」についてもいろいろと教わりました。

「水」

生産部の方に教わったまるみ豚の秘訣のうち、まず一つ目の豚の飲む「水」は、尾鈴山系から流れる水を使っていると聞きました。人も飲める自然水にさらに、酸素を融合させるという特別な装置を使って豚の飲用水に気泡加えさせて、豚の体内の有用微生物が活性化され豚を元気にさせるという工夫がされていました。人でいうところの腸活に似ているかもしれませんね。

下の写真では分かりづらいのですがぶくぶくと白いノズルから泡が出ていて、豚の飲む水にたくさんの酸素が含まれるようにしているそうです。世話中も豚たちはこの水をごくごく飲んでました。やっぱり普通の水よりおいしいのかもしれませんね。

 

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また、この協同ファームさんはIoTシステムというインターネットを利用した技術を導入していて豚舎の温度や湿度管理、豚たちの飲用水に異常があったら携帯や休憩場所に設置されたテレビなどで確認できるようにもなっており、畜産業も最近はすごくハイテク化してきたなあと感じました。

畜産業に限らず、農業ってアナログなイメージが先行していますけど、最近は生産性などを上げるためにこういったIT化が進んでいるみたいです。

他にも、別の農家さん同士で比べて、自分の農家の枝肉価格や分娩回転率などの順位が分かるベンチマーキングという方法も採用していて、農業でもインターネットは欠かせない存在になりつつあるのかもしれないと感じました。

 

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「衛」

次に「衛」では、豚の健康維持や防疫面について教わりました。まずは豚の健康維持についてですが、これは社長さん直々にまるみ豚の魅力を教えてもらいました。もともとは、豚の糞尿などの悪臭問題を解決するためや、餌に豚の腸内環境を良くするためにいろいろと工夫した結果、かえって豚肉の質自体も良くなったそうです。

そこから、もちろん生産性を考慮しつつ、いろいろと試していく過程で「豚が幸せに生きられる=生産性も上がる」というまるみ豚の特徴を教えていただきました。そこから思ったことは、ただ生産性だけを求めていくのではなく、きちんと試しながらコスト面と豚の事を考慮していく過程は素晴らしいなと思いました。

特に、豚の幸せに重点を置くという姿勢はおいしいお肉が食べられるという点で消費者にとってもいいことですし、生産者にとっても豚が健康に育ってくれるという両者にとって利点じゃないのかなとも思います。

昨今は東京オリンピックのこともあり、アニマルウェルフェア(動物福祉)に対して関心が高まってきている中で、まるみ豚のような豚のことを考えながらつくられた豚肉の方が求められる機会が絶対増えると思います。

それに、私もこのまるみ豚のお肉を食べさせてもらったのですが、当然ですが普通の豚肉よりおいしかったです。特にハンバーグは絶品でしたのでこのブログを読んだ方は是非食べてみてください。

 

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次に防疫面に関してですが、宮崎は口蹄疫という大変な伝染病があった県なので、豚舎に入る時と出る時にシャワーを浴びることや踏み込み槽に入って長靴を消毒などの防疫面は徹底していました。

他にも、古くから畜産業が盛んなヨーロッパなどに勉強しに海外研修をしたり、専属の獣医師さんの勉強会もありました。また、HACCPやJGAPも今取得に取り組んでいて、安心安全面に対して意識高く、すごいなと思いました。

まるみ豚さんは、ただ豚の世話をして淡々と仕事するんじゃなく、どうすればもっと良くなるのか考えて常に向上しようとする印象を受けました。

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「餌」

最後に「餌」は、まるみ豚になる重要点だと教わりました。いわゆる銘柄豚と言われる豚は肥育豚(80-90日齢以上の豚)という豚に食べさせる餌が各農家違うため、その豚肉の質がそれぞれの農家で変わってくるそうです。

このまるみ豚さんは自家配合を行っており、ただ餌を与えるだけと言うのではなく、トウモロコシサイレージ(トウモロコシを発酵させたもので、下の白い粉末の写真です。)やエコフィード(食品残渣のことで、下に載せている黒っぽい粉末の写真です。)などを混ぜつつ、かといって多くの成分を入れすぎないようにしているそうです。

 

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私は肥育豚ではなく、仔豚の世話を主にやらせてもらったため、肥育豚の餌に関しては詳しくは言えませんが、仔豚の餌には豚の病気予防のために色々と工夫されていました。

豚は仔豚の時期が一番病気になりやすく肥育豚では滅多に病気になることはないそうです。そのため、仔豚舎は普段の世話の時からよく観察し、いかに仔豚を死なせないようにするかが養豚農家では大事だそうです。

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上の写真が肥育豚で、下の豚が離乳仔豚です。さすがに肥育豚は抱えられなくらい大きいです。(ちなみに仔豚舎の豚抱えているのが私です。抱き方が悪かったのか、めっちゃ暴れられました。)

以上が2回に分けて実際に豚舎に入って世話をしてみた私の感想です。色々大変なこともありましたが、すごくいい経験ができたと自分では思っています。これから大学でも本格的な家畜などの勉強が始まっていくと思いますが、今回の協同ファームさんでの生産部の経験を生かしてもっと畜産業に関する勉強に取り組みたいと思います。